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2003年03月13日(木) 06時04分
イレッサ副作用、警告2カ月前認識 「本社に連絡せず」(朝日新聞)抗がん剤「イレッサ」に副作用死が多発した問題で、輸入・販売元のアストラゼネカ社(大阪市)が、米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会の審査が終了するまで、医師に使用上の注意を喚起する添付文書改訂の意向を英国本社に伝えていなかったことが、内部資料や関係者証言でわかった。関係者は「米国での承認審査に影響を与えることを恐れたためだった」と証言。ア社は「本社に連絡をしなかったのは不適切だった」としている。 イレッサは肺がんの治療薬として英国のア社が開発、同社名の日本法人が輸入し、世界で初めて日本で承認を受けた。 内部資料は「イレッサ間質性肺炎 社内での検討経緯」と題し、承認後の社内会議の記録やメールのやりとりをまとめたもの。 これによると、ア社がイレッサの副作用である間質性肺炎などの異変に気づいたのは発売から半月後の昨年8月上旬だった。8月2日には担当社員が協議した結果、「添付文書改訂を行わなければ緊急安全性情報(副作用を防ぐため製薬会社が医療機関などに出す情報)発出の可能性あり」などと記している。同12日の会議内容の記録では「間質性肺炎の副作用報告が頻発」「アクションを取るべき」と態勢整備を促した。ア社が厚生労働省の指示で添付文書を改訂した2カ月前のことだ。 ア社が副作用頻発の危険性を認識したのは9月11日の社内会議とみられていたが、これより1カ月早かった。 9月11日の会議では、添付文書改訂の方針と、そのための英国本社との交渉が決まった。18日に社内の改訂作業部会で間質性肺炎を「重要な基本的注意」の項目に格上げする案を作成したが、改訂に必要な英国本社との交渉は先延ばしされた。 関係者によると当時、FDAの抗がん剤諮問委員会(ODAC)が24日に開かれることがわかっていた。この委員会は薬の販売承認に重要な役割を果たす機関で、委員会の答申を受けてFDAが承認する流れ。 ア社はこの委員会の3日後の27日に安全性委員会を設け、本社に添付文書改訂の意向を示しており、これまでの間、棚上げされたことになる。 当時の会議録をまとめた社内メールには13日時点で「現在US(米国)で審査中であることを考えると本社は素直に(添付文書改訂に)合意しないかもしれません。そちらの交渉も並行して進めていただきたい」と提案されている。 担当幹部はこのメールに対し「24日のUSでの審査までは本社にはアクションを起こさない方がよいとの議論の末、安全性委員会の結果をもってHQ(英国本社)へ打診するという結果であったと理解している」と返信している。 内部関係者によると、本社に報告し、添付文書改訂が認められた場合、本社はすぐに各国の行政当局に報告しなければならない。副作用による添付文書改訂がFDA審査に影響を与えることに配慮したという。 最終的には本社の承諾前に厚労省から添付文書改訂と緊急安全性情報を出すよう求められた。結果的にFDAは、まだ承認をしていない。 ア社の加藤益弘副社長は今月10日の取材で「FDAの審査に影響を与えることがありうるかもしれないとおもんぱかった」と話したが、翌日、「調べた結果、審査を考えたのではなく、本社が忙しいことを配慮したため。改訂の意向を伝えたとしても審査には影響なかったと考える」と説明している。 ◇ <イレッサ問題> イレッサは02年7月、世界で初めて日本で承認され、現在も承認は日本だけ。「副作用が少ない」との前評判から、発売直後から多くの患者に使われ、副作用による死亡が相次いだ。主な副作用は、肺の末端で袋状になっている肺胞の壁などの組織に炎症が起きる間質性肺炎や急性肺障害。2月末までに厚労省に177人の死亡が報告された。使用患者は日本だけで推定約2万5000人。 (03/13 06:03) |