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2003年02月28日(金) 16時16分

水道4割が微生物対策なし読売新聞

 世界一安全と言われる日本の水道水の“安全神話”に疑問を投げかけるような水質管理の実態が、厚生労働省が今年度行った定期調査などで明らかになった。同省の指針に基づく病原性微生物対策を講じていない水道施設が4割超に上り、配管ミスで一般家庭に工業用水を給水していた事業者も見つかった。

 来月から日本で開催される「世界水フォーラム」では水道水の水質管理もテーマの一つだけに、開催国として模範を示す早急な対策が望まれる。

 ◆微生物対策

 埼玉県越生町で1996年、水道水に病原性微生物「クリプトスポリジウム」が混入、約8800人が集団感染して下痢などの症状を訴えた。この微生物に汚染した水を飲むと下痢を起こし、最悪の場合、死に至ることもあるが、国内では死亡例はない。

 厚労省は今月3日、クリプトスポリジウム対策の実施状況調査をまとめた。それによると、近くにし尿処理場があるなど、汚染の可能性のある全国3404の浄水施設のうち、同省の指針に基づく濾過(ろか)装置設置などの対策が講じられていなかった施設は、昨年4月現在で44%の1488施設に上っていた。

 ◆配管

 大阪のテーマパークで昨年7月、飲料用水道管が工業用水道管に誤って接続されていたことが発覚。さらに、東京・足立区でも同年11月、一般家庭9世帯で同様の配管ミスが見つかった。このうち6世帯から大腸菌群が検出された。あわてた厚労省が翌12月、全国の水道事業者に緊急点検を指示したところ、東京・北区の1世帯で17年間も工業用水が給水されていたことが新たにわかった。

 ◆水質検査

 厚労省は昨年11月、水道水の水質検査を行っている全国313の検査機関を対象に、検査の正確さを確かめる調査を実施、今月17日に結果を公表した。

 鉛の混入を調べる検査では、検査の精度に「疑問あり」「不満足」とされた事業者が全体の25%もあった。カドミウムの検査でも同19%に上っており、同省が急きょ、成績の悪い検査機関に測定方法の見直しを指導するという事態となった。

 ◆衛生管理

 厚労省は今年度、定期的に行っている立ち入り検査を、104の水道事業者に対して実施した。その結果、▽毎日行わなければならない水質検査をしていない▽伝染病予防のため職員に年2回義務づけられている健康診断を年1回しか実施していない——など、衛生管理が不適切として47事業者(45%)を文書指導した。

 ◆憤りの声

 日本消費者連盟の富山洋子代表運営委員は「管理のずさんさを、改めて思い知らされた。命を支える水を扱っているという認識が欠けている」と批判。一方、厚労省の谷津龍太郎水道課長は「緊張感が薄れているのが原因。事業者としてやるべきことをやるよう厳しく指導していきたい」と話している。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030228-00000006-yom-soci

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