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2003年02月12日(水) 16時13分

小林光弘被告に死刑判決…弘前の武富士放火殺人事件読売新聞

 青森県弘前市の消費者金融「武富士」弘前支店が放火され、社員ら5人が焼死、4人が重軽傷を負った事件で、強盗殺人と現住建造物等放火などの罪に問われた同県浪岡町浪岡稲村、元タクシー運転手小林光弘被告(44)の判決公判が12日、青森地裁で開かれた。山内昭善裁判長は「犯行の結果は重大で、被告の生命をもって償わせるのが相当」として、求刑通り死刑を言い渡した。

 判決などによると、小林被告は、競輪などで作った借金返済のため、2001年5月8日午前10時50分ごろ、弘前市田町の雑居ビル3階の同支店に押し入り、持ってきたガソリンなどの混合油約4リットルをまいて「ガソリンだ。金出せ。出さねば火をつけるぞ」などと脅迫。支店長が応じなかったことから激高し、ライターで火をつけて支店社員ら9人を死傷させた。

 公判では、殺意の有無が争点となった。

 検察側は「ガソリンに火をつければ爆発的に燃焼することは社会常識であり、9人全員に対し殺意を持って火をつけたのは明らか」と主張。昨年10月の論告求刑公判で、「(借金返済を目的とした)動機は極めて不当かつ理不尽で、犯行も冷酷残忍。遺族らの被害感情は今なお深刻」とした。

 一方、小林被告は「決して人を殺すために押し入ったのではない」と殺意を否定。弁護側は「支店の入り口とは別に、常識的には従業員専用の入り口があると考えられ、そこから逃げられると思っていた」などと強盗致死罪の適用を主張し、無期懲役を求めていた。

 これに対し、山内裁判長は「狭い店舗内に混合油をまいて点火すれば、瞬時のうちに爆発的な燃焼を引き起こし、人間が死亡する可能性が高いことを被告が認識していなかったとは到底考えられない。被告が殺意を生じて放火に及んだことは明らか」と殺意を認定した。

 事件を巡っては、亡くなった5人の遺族が武富士本社(東京都新宿区、清川昭社長)に対し、事件当時、同支店の安全管理が徹底していなかったとして賠償を請求し、武富士側がこれに応じることで昨年11月に合意している。

(2月12日16:13)

http://www.yomiuri.co.jp/top/20030212it05.htm

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