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2003年01月12日(日) 03時20分
<内部告発>解説 保護制度「官の規制」を懸念(毎日新聞)牛肉など食品の偽装偽表示や自動車、原発のトラブルなど消費者の生命さえも左右しかねない不祥事の多くは、内部告発によって明らかになってきた。告発者保護の法制度の確立を求める声が高まるのは当然のことだ。ところが、法制化の作業が進む今、「保護」が「規制」に形を変えて、告発の芽をつみかねない懸念が浮上した。内閣府の国民生活審議会消費者政策部会の当初案は、保護対象とする告発先を監督官庁に限定した。そうなれば、マスコミや市民団体への告発は「法律違反」と判断されかねない。何より業界との癒着が常に問われてきた監督官庁の大臣に告発しようという人がどれだけいるだろうか。審議会内部からも「告発が握りつぶされる」の声が出ている。 これに歩調を合わせるかのように経済産業省の産業構造審議会小委員会では、企業の秘密漏えいに新たな刑事罰を科そうという論議が進む。早ければ、1月20日から始まる通常国会で実現する。 それぞれの担当者は、二つの審議会の動きは別個のものであり、内部告発を妨げる意思もないと説明する。だが、年末のあわただしさに紛れるように突然出てきた二つの動きの底辺には、官業の「不祥事は内部で処理すべきもの」「マスコミに報道されたくない」という思惑があるのは確かだ。「雪印食品のように告発でつぶされたくない、という危機感が経営側にある」と審議の経緯に詳しい弁護士は指摘する。 そして今回の法制化の動きには保護を名目に「官が民を規制する」と批判された個人情報保護法案に通じるものがある。 二つの審議会は今、報告書に対する意見を国民から求めている。内部告発を真に「保護」するために活発な議論が求められている。 【宮澤勲】(毎日新聞) |