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2003年01月09日(木) 18時51分
韓国産カキの県産偽装販売 社名公表の住吉屋、県相手に損賠提訴へ /宮城(毎日新聞)◇「疑惑で多大な損害」韓国産カキの県産偽装で、県が7日に社名を公表した県内最大のカキ加工業者「住吉屋」(石巻市)の猪又武社長は8日、「偽装疑惑で多大な損害を受けた」として、県を相手取った損害賠償請求訴訟を9日にも仙台地裁に起こす考えを明らかにした。 県は7日の会見で、住吉屋と子会社の「マルスミ水産食品」が、韓国産カキを取り扱った証拠があるのに取り扱いを否定し、県の調査を拒否したとして、社名を公表し両社を景品表示法違反(立ち入り検査の拒否)の疑いで県警に告発すると表明した。 取材に対し、猪又社長は「当社は韓国産カキを一切扱っていない。調査にも全面協力してきた」と事実関係を完全否定。「当社は仕入れと出荷量が完全に一致している。関係者の証言などから、当社が偽装表示していたと断定しているが、これらの調査は競争相手の同業他社からの情報。証拠があったら示してほしい。不十分な調査で発表され、強い怒りを感じている」と、県を批判した。 また、猪又社長は「今回の発表で会社の信用が完全に失墜した。得意先からの取引休止など今後、数千万円にのぼる損害が予想される」と述べ、県を相手に9日にも数百万円の損害賠償請求訴訟を起こす考えを示した。【石川忠雄】 ◇住吉屋へ、6社が取引休止を申し出 住吉屋によると、同社は7日、取引先にファクスで「韓国産カキは一切扱っていないし、県の調査にも協力した」との文書を配布。県に対して発表取り消しや謝罪を求めることを説明したが、8日夕までに6社が取引休止を申し出たという。 一方、昨シーズンは約233トンのカキを仕入れた住吉屋の大手取引先のイオングループ(スーパー「ジャスコ」を展開)は8日、関係者からの聞き取りなど独自の調査に乗り出した。イオンは「事実を把握して対応を検討したい。今シーズンのカキは、きちんとした対策がされているので、偽装はないと思う」として、事実関係がはっきりするまで、取引を継続する予定だ。【野原大輔】 ◇「ペナルティー科す状況でない」−−県漁連、カキ問題で住吉屋などに 県漁連は8日、石巻市で定例理事会を開き、住吉屋と子会社への対応を検討。「県の立ち入り検査拒否が事実なら大変遺憾」としながら「現時点でペナルティーを科す状況ではない」と結論付けた。 理由として▽両社は偽装を否定しており、偽装を認めて既に社名を公表された16業者と同じに扱えない▽韓国産カキを扱っただけでは問題にならない——とし、「疑惑解消に至ってないことも事実で、今後の推移を見守りたい」と述べた。 また県の7日の発表でも、県内に昨シーズン入荷した韓国産カキのうち約98トンの行き先が未解明だったことについて「県は今回で一応の区切りとしているが、全容解明を進めるべきだ」と、さらなる継続調査を県に求めることを決めた。【野原大輔】(毎日新聞) |