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2002年12月15日(日) 10時12分

車のガソリン、アルコール混合に転換へ 環境省方針朝日新聞

 地球温暖化をもたらす温室効果ガスの削減目標を達成するため、環境省の「中核的温暖化対策技術検討会」(座長・永田勝也早大教授)は、自動車用レギュラーガソリンに生物資源を原料とするアルコールを混ぜていく方針を固めた。最終的には混入率を10%とし、レギュラーガソリンを全廃する構想だ。欧米で具体化している方策を取り入れたもので、転換に必要な技術は既に確立している。検討会には自動車業界代表も参加しているが、業界内や政府部内の調整も残されている。環境省としては03年から対応車の普及などを進め、早ければ08年から転換を開始したいとしている。

 温暖化防止のための京都議定書は、日本が08年から12年までに二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を、90年と比べ6%削減することを義務づけた。政府はこれまで、産業界や国民の自発的な取り組みを働きかけてきた。しかし、00年度の排出量が90年比約8%増となるなど、このままでは達成がむつかしい。

 有識者、自治体関係者、日本自動車工業会の代表らが参加する同検討会は「善意に頼る手法では限界がある」と判断。国内の温室効果ガス排出量の約2割を占める自動車で、サトウキビの搾りかすや木くずなど生物資源から作ったバイオエタノール(アルコールの一種)を10%混ぜた混合ガソリン(E10)への転換を図ることにした。国内のガソリンの使用量の約8割を占めるレギュラーガソリンをE10へ切り替えると、温室効果ガスを90年比で1%削減できるという。

 経済産業省も混入率が1〜5%程度の低濃度混合ガソリンの普及をめざす制度化に取り組み始めている。環境省の構想では、03年度に低濃度混合ガソリンが既存のガソリン車で使用できるかどうかの安全性試験を実施する。その後、一部地域のガソリンスタンドで低濃度混合ガソリンの販売を始める。また、03年に発売する新車をE10対応車にするよう自動車会社に働きかける。非対応の既存車のために、ハイオクガソリンを残すが、ほぼ対応車になった時点でハイオクもE10への転換を始める。

 非対応車がE10を使うためには、窒素酸化物を除去する触媒の制御装置の交換が必要になる。ガソリンスタンドは混入装置などの新設が必要になる。環境省は制御装置の交換費用やスタンドの施設整備費用を補助する方針だ。海外からエタノールを輸入して精製するE10の価格は、現時点ではレギュラーガソリンより約3割高い。関税引き下げや精製技術の改良で、同程度まで下げる。

 アルコール混合ガソリンは、欧米で次世代燃料として普及が進んでいる。米ではトウモロコシを原料とするE10のシェアが12%を占める。日本を含め、すべてのメーカーがE10対応車を販売している。欧州連合(EU)は、ガソリンに一定比率の混合の義務づけを検討している。

     ◇     ◇

 バイオエタノール サトウキビなどの植物から作ったアルコールの一種。燃焼で発生するCO2は、原料の植物が大気から吸収したもので、石油などと違い、総体として大気中のCO2を増加させないと考えられ、温室効果ガス排出量に算入されない。オクタン価を向上させる効果もある。

 ただ、エネルギー効率が低いほか、20%を超える高濃度で混入すると、部品が腐食しやすいと指摘されている。呼吸器疾患の原因とされる窒素酸化物(NOx)の排出量がレギュラーガソリンに比べやや多いとの研究もある。環境省は今年度中に環境への影響を調べる。国内では生物資源を原料としていないアルコールを50%程度混入した燃料が販売されており、発火事故も起きている。

 また、アルコール混入率はこれまで規制がなかったが、経済産業省は03年通常国会に濃度規制を定める揮発油等品質確保法改正案を提出する予定だ。(09:24)

http://www.asahi.com/national/update/1215/006.html

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