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2002年11月13日(水) 18時50分
[スコープ]医師法・薬事法違反事件 消費者の願望突き、業者が販路拡大 /山形(毎日新聞)◇健康食品に血液診断抱き合わせ医師免許がないのに医療行為をし、医薬品に見せかけて健康食品を販売したとして、東京都渋谷区の健康食品販売会社「ピーティーネットワーク」と同社社長ら1法人3人が起訴された医師法・薬事法違反事件。背景には「病気が治るなら試したい」という消費者の願望と、それを販路拡大に利用した業者の思惑があった。一方で、山形署の調べでは、“マルチ商法”に似た販売の仕組みに乗り、「もうけられる」と考えた一部の利用者の実態も浮かび上がっている。【太田誠一】 ■販売手法 同社は99年10月末、栄養補助食品や化粧品などの販売を目的に設立された。しかし、競合する業者の出現で、米国から輸入していた健康食品「セルフードHOプラス」の売り上げは伸び悩んだ。そんな時期に同社社長の四角享被告(43)=東京都渋谷区広尾1=が知り合ったのが、東京都北区上十条1、健康アドバイザー、福村一郎被告(69)だった。 福村被告は、自宅に「ネイチャーメディカル研究所」を設け、「バイタルチェック」と称して有料で血液診断をしていた。四角被告は「バイタルチェックと抱き合わせれば、健康食品の販売がうまくいく」と考え、00年7月ごろ、福村被告に話を持ち掛けた。 同9月ごろ、同社に福村被告の事務所を移転させた。昨年8月から、北海道帯広市を皮切りに、山形市、長野県岡谷市、茨城県つくば市で健康相談説明会を開催。東京都内も含め、バイタルチェックを受けた人は約800人に及んだ。 ■販売の実態 血液診断では、あらかじめ既往症や健康状態を問診。カルテに似た「バイタルチェック表」を付け、3カ月後の“再診”を勧めるなどリピーター獲得にも利用した。 「赤血球が連鎖している」「ホルモンバランスが崩れている」「血液の中にがんの芽が出ている」などと、事実に基づかない表現で客の不安をあおり、健康食品の販売につなげた。2回目以降の人には症状が改善しているように告げ、使用を継続させていた。 バイタルチェックで客の不安をあおった同社は「セルフード」と栄養補助食品「ビルベリーパイン250」の売り上げを大幅に伸ばす。この2品だけで総売り上げの67%を占めた。同社は年商約1億円を稼ぐようになる。 「セルフード」の仕入れ値は900円、「ビルベリー」は2200円だったが、同社はそれぞれ約1万円で販売。利益率の高さから、会員制を取り販売個数に応じて10%のマージンを与える“マルチ商法”に似た販売形態も取り全国的な販路拡大を狙っていた。 ■消費者 県消費生活センターに寄せられる健康食品に関する相談は、97年度73件▽98年度69件▽99年度64件▽00年度45件▽01年度83件。健康食品を医薬品と思って購入したケースが多く、「効き目があると思って買ったが、効かない。中途解約できないか」という相談が大半を占めるという。 県保健薬務課によると、効能を誇大に宣伝するなどの行為に対しては指導しているが、「インターネットの普及で完全に取り締まるのは非常に難しい」という。同課は「(だまされたという)恥ずかしさから消費者が相談をためらうことも多いが、問題があれば保健所に相談してほしい」と話している。(毎日新聞) |