埼玉県本庄市の保険金殺人事件の中心人物として、２件の殺人罪と殺人未遂罪などに問われた金融業、八木茂被告（５２）の判決公判が１日、さいたま地裁（若原正樹裁判長）で開かれる。検察側は８月、八木被告に「首謀者として事件を敢行し、到底矯正は不可能」として死刑を求刑している。実行行為者とされる女性３人は共謀を認定され、無期懲役〜懲役１２年の実刑が確定している。

　起訴状によると、八木被告は保険金目的で、店の常連客だった男性３人の殺害を、小料理店長、武まゆみ受刑者（３５）ら３人に指示。９５年、元工員、佐藤修一さん（当時４５歳）をトリカブトで毒殺し、保険金３億円余りをだまし取った。９９年には元パチンコ店員、森田昭さん（当時６１歳）に多量の風邪薬とアルコールを長期間飲ませ抵抗力を低下させ、肺炎などで死亡させた。また、元塗装工、川村富士美さん（４１）も森田さんと同様の手口で殺そうとした。

　弁護側は、佐藤さんの死因は「腎臓などから川のプランクトンが検出されており、自殺による水死」、森田さんは「風邪薬は関係ない。酒の飲みすぎで死んだ」と主張。検察側が立証の柱とする３受刑者の証言は「検察側のシナリオに合わせているだけで信用できない」と無罪を主張した。八木被告は８月の最終弁論で「県警と地検がでっち上げたストーリーで、えん罪」と全面否認している。

　八木被告が問われているのは、殺人２件、殺人未遂１件、保険金詐欺１件、偽装結婚（公正証書原本不実記載・同行使）２件、傷害１件。　【高島博之】


［毎日新聞９月２９日］ ( 2002-09-29-18:45 )

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