ジー・オー：自ら広告塔、逆らえばクビ　大神会長（毎日新聞）

　逮捕状が出ている大神会長は、グループ企業の健康茶のテレビＣＭに自ら出演するなどグループのＰＲ塔の役目も一手に握っていた。「世界のニューヒーロー」「キムタク（タレントの木村拓哉さん）を凌（しの）ぐ日本一カッコイイ男」などキャッチコピーも自ら考え、反論や疑問をぶつける社員は厳しく切り捨てていたという。

　福岡市出身で、高校中退後、経営した配管工事会社が９２年に倒産したため上京し、化粧品の輸入代行会社などを設立した。当時の知人によると、好きな言葉は、歌手の矢沢永吉さんの著書から取った「成りあがり」。「上流階級の人と知り合うチャンスを作る」との理由で、都心部の高級ホテルの１泊約５万円の部屋を自宅代わりに使った。

　だが、この会社も「注文した商品が届かない」などのクレームが殺到、９５年末には、訪問販売法違反容疑で警視庁の家宅捜索を受け、会社を閉鎖。それでも、従業員を前に「おれはもっとビッグになる」と宣言したという。

　「ジー・オー」は自らのイニシャルから名づけた。映画に主演し、自身のカレンダーを作成して会員に配布するなどしたほか、「世界共通語の大神語を大学教授に作らせる」との発言も。今月４日のインタビューでは「仕事は各部門の責任者に任せていた」と話していたが、元役員らは「絶対的なワンマン経営者で、逆らったらクビになるだけ」と証言する。

　ジー・オーグループに投資した会員らの被害回復は極めて難航している。今年３月の家宅捜索時に見つかった現金は、約２００万円。破産管財人や被害対策弁護団の調査などで、大神会長が千葉県成田市などに不動産を所有していたことが分かったが、換金しても約５３００万円程度しか確保できないという。

　東京地裁で９日に開かれた第１回債権者集会で、破産管財人は配当がゼロになる恐れさえ指摘した。弁護団は、大神容疑者の元妻や現在のフィリピン人妻、グループの元従業員らにも資産の提供を求める方針だ。

　足に障害のある長女（５）の将来を考えて投資した２００万円のうち１５０万円が戻って来ないという山梨県の主婦（４４）は「逮捕はひと区切りだが、金が戻ってくるわけではない。使途などを徹底的に調べ、被害救済にあてることができるものは回してほしい」と話している。

［毎日新聞９月１０日］ ( 2002-09-10-13:15 )

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20020910k0000e040077000c.html

ニュース記事一覧に戻る

トップページ