2002年08月13日(火) 00時00分
日本ハム重大危機、雪印と同じ展開へ製品拒否で4割大減産、ライバルは猛攻(ZAKZAK)
日ハム・大社啓二社長 業界最大手日本ハムが重大危機−。BSE対策の国産牛肉買い上げ制度をめぐる、日本ハムグループの牛肉偽装問題で、これまで本社の関与を否定してきた同社が業界団体に“圧力”をかけ、偽装隠ぺいに利用していたことが明らかになってきた。同社製品への拒否反応は、大手スーパーをはじめ全国の消費者に拡大しており、同社はついに大幅減産を決断。経営への深刻な影響はいよいよ不可避な情勢だ。 【4割大減産、他社はウハウハ】 日本ハムは13日、当面の間、ハム、ソーセージや総菜などの加工食品の生産を4割減産する見通しを明らかにした。 同社の平成14年3月期連結売上高は9450億円。このうち、ハンバーグなどの加工食品は20.9%、「シャウエッセン」や「ウィニー」などの看板商品があるハム・ソーセージは15.2%で、両部門で実に約3400億円を占める。 次々に店頭から姿を消す日本ハムの製品 同社は、国内外に24カ所ある工場の一部で操業時間の短縮などを進め、4割減産を実現する方針だが、状況次第では「工場閉鎖や従業員の一時帰休も考えなければならない」(幹部)ところまで追い詰められる可能性もある。
日本ハム製品の撤去は大手百貨店や大手スーパー、大手コンビニエンスストアなど流通業界全体に拡大。現在、店頭に並んでいるのは一部のダイエー系スーパーだけ。 こうした状況に大量の代替需要が発生し、ライバルの大手ハム各社は夏休み返上で増産態勢に入っている。 業界2位の伊藤ハムは国内6工場で4日間予定していた盆休みを1−2日に短縮。平常時の2−3割増産態勢で対応しているという。4位のプリマハムも「一時的な代替需要なのか、恒常的なものなのか」と迷いながらも、夏季休暇返上で工場をフル稼働している。 ハム・ソーセージの国内販売シェアは、日本ハムが約23%と圧倒的トップ。8月は学校が夏休み中のため普段より需要が少なめだが、事態が長引くと、業界地図が大きく変動する可能性が出てきた。 【業界団体は日本ハム“関連団体”?!】 業界団体「日本ハム・ソーセージ工業協同組合」が出した偽装牛肉の焼却指示が、日本ハム側からの要請によるものだった疑いが強まった。同組合専務理事が、日本ハムの庄司元昭専務からの働きかけを認めており、農水省は13日午前、同組合を立ち入り調査し、組合の関与を焦点に全容解明を進めている。 同組合は、業者から買い上げ対象となっている牛肉を買い取る業界団体の一つ。同組合の理事長は大社義規・日本ハム会長、常務理事には大社啓二・同社長が名を連ねるなど日本ハムとの関係が深い。 専務理事は、農水省が「買い取り事業対象外の肉が混入していた業者名を公表したい」と表明した4月以降、6月にかけて、日本ハムの庄司専務が「申請を取り下げて風評被害を少なくしたい」と接触してきたことを認めた。庄司専務は、組合に「チェックミスで品質保持期限切れの肉が混じっていた」と報告。組合は日本ハムの意向もあって、申請取り下げに動いたという。 その後、組合は先月12日、農水省の制止を聞かずに独断で日本ハムとの牛肉売買契約を解除。同18日、同省に報告した。同23日に同省が解除取り消しを要求したが、18−19日にすでに焼却されていた事実を通告した。 また、他の食肉業者によると、組合からの焼却指示は、日本ハムが不正の証拠となる輸入肉を焼却した先月18日より、少なくとも1週間以上遅く通知されたという。 農水省は日本ハムを特別扱いしてきた一連の組合の対応を問題視し、立ち入り調査時に詳しく事情を聴く方針だ。 深まるばかりの日本ハム不信。一部では「このままなら雪印グループと同じ“末路”をたどりかねない」(関係者)との声が上がり始めた。 ZAKZAK 2002/08/13
http://www.zakzak.co.jp/top/t-2002_08/3t2002081303.html
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