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2001年12月11日(火) 08時25分

ねずみ講、ネットで“繁殖” 宮城河北新報

 「電子メールを送って副収入。最高で1800万円稼げます」。インターネットを利用して会員を集めていた「ネットねずみ講」が今月、宮城県警に摘発された。これまでのねずみ講は口コミが頼りのため、“会員”集めに労力がかかったが、ネットねずみ講はメールアドレスさえ入手すれば瞬時にかなりの人を勧誘できる。犯行に膨大な数のメールアドレスが使われていることから、「名簿屋」の存在も指摘される。発想は古いが、情報技術(IT)社会を象徴するようなゲーム感覚の犯行に変わり、参加者の低年齢化が目立っている。



 国民生活センター(東京都)によると、ネット上のねずみ講(金銭配当システム)などに関する相談は5年ほど前から寄せられるようになり、これまで全国で計約290件に上っている。うち半数近い139件は2000年度1年間に集中、ネットねずみが盛んに“繁殖”していることがうかがえる。

 宮城県警に摘発された事件は全国5件目のネットねずみ講で、参加料は1口2000円。ネット上のリストにある5人の口座に2000円ずつ送金した上、一番上の人を削除して、上から5番目に自分の名前と口座番号を記入する。そのリストをメール送信して、入金を待つ。商品の売買などは何も関係しない。



 犯行に必要なのは、できるだけ多くのメールアドレス。今回の事件で、無限連鎖講防止法違反(勧誘)の疑いで宮城県警に逮捕された薬局事務員柴村真由美容疑者(41)=神戸市灘区=は、約5万人に勧誘メールを送信、うち719人から計144万円の入金を受けていた。柴村容疑者のパソコンには、約22万5000人分ものメールアドレスが保存されていたという。

 柴村容疑者のメールを受け取ってから新規リストをメール送信、同じ容疑で書類送検された郵政事業庁貯金部の男性係長(45)=東京都豊島区=も、10万人分のメールアドレスを2万円で購入していたことが分かっている。

 宮城県警はネットねずみ講の背後には、膨大な数のメールアドレスを違法に売買する「名簿屋」が介在しているとみて、2人を追及中。国民生活センターにも「アドレスを公開していないのに、知らない人からメールが送られてきた。不気味だ」という苦情が来ており、個人情報が筒抜けになっているようだ。



 また、今回の事件では、「勧誘に乗って、ねずみ講に参加した人の5割は20代。30代も含めると8割になる」(宮城県警)と、若い人のかかわりが圧倒的に多い。

 「インターネットを使う機会の多い若者の目に触れることが多く、小遣い稼ぎのために参加するケースもある」(仙台市消費生活センター)。違法行為と知らずに、学生らがゲーム感覚ではまり込むことも多いという。

 ねずみ講は開設や勧誘だけでなく、参加も禁止されている。国民生活センターは「必ず破たんする。絶対かかわらないように」と警告、各県警もネット上を検索する「サイバーパトロール」で監視を強めていく方針だ。

[河北新報 2001年12月11日](河北新報)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20011211-00000012-khk-toh

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