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2001年12月04日(火) 05時56分

弁護士が「パート裁判官」 最高裁と日弁連が合意朝日新聞

 最高裁と日本弁護士連合会(日弁連)は3日、弁護士がパートタイムで裁判官の仕事をする「非常勤裁判官制度」を導入することで基本的に合意した。双方の組織内での確認を経て近く共同で公表し、具体的な検討作業に入る。弁護士が仕事を続けながら豊かな実務経験を生かせる「パート裁判官」が軌道に乗れば、これまでは常勤の職業裁判官しかいなかった裁判所を大きく変えるきっかけになりそうだ。

 政府の司法制度改革審議会は6月の意見書で「多様で豊かな知識や経験を持つ裁判官を増やすために弁護士の裁判官への任官を一層進めてほしい」と提言した。これに先立って両者は4月から月2回の割合で協議。任官希望者が少ない現状を打破するひとつの方策として、「パート裁判官」を実現できるかどうかが大きな焦点になっていた。

 両者の合意によると、非常勤裁判官が担当するのは当面、民事と家事の調停事件に限る。今後は、訴訟の手続きをとらずに裁判官が裁量で利害を調整する「非訟」事件にも導入できるかを研究するとしている。ただ、制度導入には法律を整備する必要があるため、実現時期はこれからの協議にゆだねられた。

 弁護士任官の利点はかねて言われてきたが、転職による収入の減少や仕事の引き継ぎの難しさなどから、ここ10年間の任官者は40人余りにとどまっている。日弁連側は、以前から「非常勤が実現するなら任官したいという弁護士は多い」と主張してきた。

 これに対し最高裁側は、裁判官の身分保障を定めた憲法の規定との兼ね合いなどを理由に当初は消極的だった。しかし、分野を限って裁判官として登用し、仕事や裁判所職員とのチームプレーなどを経験してもらうことは、将来の常勤裁判官への任官促進にもつながるとの期待から、歩み寄った。

 協議ではこのほか、従来の任官の仕組みの見直しを図った。弁護士が常勤裁判官になる場合の任官期間を、希望次第で5年程度とする「短期任官」にも積極的に取り組むことで合意。倒産事件や知的財産権訴訟を専門とする裁判官や、離婚や遺産相続など家事事件だけを担当する裁判官といった「専門的分野任官」の推進も確認した。

 また、常勤裁判官になろうと応募して不採用になった場合は、最高裁側が弁護士本人の求めに応じて書面で理由を開示することも決定。弁護士任官を進める方策の枠組みが固まった。(05:56)

http://www.asahi.com/national/update/1204/002.html

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