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2001年11月15日(木) 11時27分
不正軽油取引による巨額脱税、1都6県で一斉捜索(読売新聞)東京、福島、新潟、宮城、茨城、栃木の6都県は15日朝、不正軽油を密造・販売して巨額の軽油引取税を脱税していた業者の本支店などを地方税法違反容疑で一斉捜索した。不正軽油の密造から流通までの広域ルートが自治体間の協力で摘発される初めてのケースとなる。摘発された業者の脱税総額は約16億円と見られ、関係都県は東京地検などに刑事告発する。 六都県の税務部局の捜索を受けているのは、石油販売会社「サシマ石油」(栃木県小山市)とグループ会社の本支店や不正軽油密造施設など計32か所。東京都と福島、新潟での地方税法違反事件だが、関係先がある宮城、茨城、栃木の3県も強制調査に協力した。 調べによると、サシマ石油は昨年6月から今年8月にかけて、福島県浪江町の密造施設で、軽油に重油や灯油を混入させて粗悪な不正軽油を製造。都内や福島、新潟の運送業者などに軽油として販売して、それぞれの3都県に納めるべき計約3億円の軽油引取税を脱税した疑い。密造施設は一昨年秋に設置され、以後2年間にわたり約2万5000キロ・リットルを製造、全国10都県で通常より約10円安い1リットル当たり60円前後で販売していた。都主税局は、脱税総額は最終的に約16億円に上ると見ている。 サシマ石油は、関連会社を通じて正規の軽油を販売して優良企業を装う一方で、別の関連会社を使って不正軽油を製造・販売していた。都による事情聴取を同石油が拒否したため、強制調査に踏み切った。 軽油販売を巡っては、96年4月に石油製品の輸入が自由化されて以降、悪質業者による巧妙な脱税が横行。脱税の総規模は全国で数百億円に上るとみられている。都は一昨年から巨額脱税に関与したブローカーなどを摘発、その中では暴力団が組織的にかかわっていることも明らかになっており、警視庁生活安全部と合同の捜査体制を敷いてきた。 不正軽油は使用すると多量の黒煙を出すため、ディーゼル車の排ガス対策に取り組む都が集中取り締まりを実施している。今回の密造事件も、路上での軽油抜き取り調査で発覚した。 浪江町の密造工場には、15日午前9時過ぎから福島県の職員ら数十人が次々と到着し、捜索に着手。工場入り口に会社側が「工場内無断縦覧禁止」の看板を立てていたが、職員らは物々しい雰囲気の中、工場内や敷地に置かれたドラム缶、焼却炉などを調べていた。 サシマ石油の営業部とグループ会社が入居している千代田区永田町のビルでも、早朝から都主税局の職員約10人が待機し、社員が出勤してくるのを待って午前9時前、捜索に入った。出勤した若手社員は、待ち構えた職員の姿に「ウチの会社を捜索するんですか?」と驚き、しばらく立ちすくんでいたが、捜索の立ち会いを求められると静かに従っていた。 軽油引取税1リットル当たり32円10銭が小売り価格に加算される地方税。都道府県知事の指定を受けた特約業者が元売り業者から仕入れて販売する段階で課税されるが、軽油にそれ以外の油を混ぜて販売しても軽油として課税される。 (11月15日11:27) |