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2001年11月02日(金) 00時00分
H系出会いサイトのトラブル高額請求、脅迫取り立ても続出(毎日新聞)携帯の向こうに悪質業者はびこる パソコンや携帯電話などに頻繁に送られてくる“出会い系”サイトなどの広告。一体どんな内容なのか、軽い気持ちでアクセスしたくなる人も多いかも知れない。しかし、わずか数分のアクセスで数万円〜数十万円の料金を請求され、自宅や会社にまで取り立ての業者がやってくるといったトラブルが、今年に入って急増している。国民生活センターでは「一部の業者はかなり悪質で、中には勤務先を退社に追い込まれた人も。アクセスはもちろん、自分の個人情報を業者に明らかにするのは非常に危険だ」と注意を呼びかけている。 ■■今年初めから急増 延滞金含め数万〜数十万円請求 国民生活センターによると、インターネットなどを利用した出会い系サイトに関連した相談件数は、1998年度は12件だっだが、99年度に27件、2000年度に134件と増え、2001年度は10月15日までで282件にも上っている。急増したのは今年に入ってからという。 典型的な相談事例は、「携帯電話の出会い系サイトの無料サービスを利用しただけなのに、数カ月後、入会金などが未納で延滞料金を含む数万円を支払えと言われた」「出会い系サイトを利用して料金を振り込んだのに、未納と言われ、追加料金を含め数万円を支払えと言われた」というもの。「高校生(または中学生)の息子に、出会い系サイトの高額な支払い請求がきた。支払うべきか」という親からの相談もかなりの数に上る。 一方的に高額な料金を提示してくるだけではなく、請求の仕方もいわゆる脅迫に近い、プロの手口が目立つ。ある男性は、広告メールがしばしば来るので、出会い系サイトをのぞいたり、メールアドレスを打ち込んだりしていた。突然、業者から「入会金が未納だから10日以内に支払え」という内容証明郵便を受け取った。 「期限内に支払わないと、延滞金約50万円が加算され、不正ユーザーとして住所、氏名を公表する。信用情報機関のブラックリストにも掲載する」と言われ、消費者相談窓口に駆け込んだ。実際に、取り立て業者などから自宅や勤務先に、電話や手紙などが相次ぐ例も少なくない。 ■■「気軽にクリック」が危険 普段、出会うことのない人と、会話を楽しんだり、友達になったりするのは、インターネットの大きな魅力の一つ。ネットにはもともと、こうした友だちづくりのためのサイトもたくさんあるし、その中には無論、異性との出会いを前提にしたものもある。しかし、いま問題になっているのは、ほとんどすべてが、性的なパートナー探しをうたい文句にした、いわゆる「H系サイト」だ。 こうしたサイトは、パソコンや携帯のネット接続機能を利用して、大量の勧誘メールを送ってくる。“性的な出会い”を売り物にする現実の店舗やクラブなどには決して近づくことのない人でも、URLなら気軽にクリックしてしまう、ということもあるだろう。 特にマスコミなどで出会い系サイトをきっかけにした事件が報じられることの多い今日、性的関心というより、「これが出会い系サイトというものなのかなぁ」といった単なる興味でクリックする人も多いようだ。しかし、メールアドレスを登録などすると……大きな危険を呼ぶ。 ■■「H系」を売り物にする悪質業者 高校生にも被害拡大 国民生活センターの相談部職員は、「セックスフレンドを探すなどという公序良俗に反するサービスを売り物にする業者に、まともな業者はいない」と断言する。無料サービス中とか、無料ポイントサービス中などのうたい文句は、まず無意味。利用して数カ月たってから、「有料サービスに5分入っていた」などどして請求してくる。しかも、延滞料金付きだ。 相談内容を大別すると、延滞料を含め3万〜4万円といった、比較的支払いやすい額を請求してくるケースと、数十万円といった高額な請求をし、「今すぐ支払うなら5万円でいい」といった“値引き”をしてくるケースがあるようだ。出会い系サイトの業者とのトラブルは、実際に利用した人はもちろん、利用していない人でも表ざたにしたくないため、「数万円なら」「子供の将来に傷がついては」と支払ってしまう人も多いという。しかし、本当のトラブルはここから始まる。 料金を振り込んだのに「振込みが確認できない」などと再度請求されたり、まったく身に覚えがない請求が相次いだりする。一度でも支払いに応じると、「金を取れる人物」として、名簿が出回ってしまう危険がある。ある男性は、出会い系サイトに32回アクセスしたところ、なんと50社から請求を受け取ったという。 こうした手口は、風俗店やダイヤルQ2、ツーショットダイヤルなどでも使われる。だが、パソコンや携帯などを利用している場合、業者の所在が確認しにくく、国民生活センターなどの消費者相談窓口が間に入って交渉しようとしても、連絡すらつかない。特に、携帯利用の場合、申し込み画面も利用した画面も、まずプリントアウトされることはなく、あとから契約内容を確認しようとしても、サイトはすでに閉鎖されていたり、改造されていたりする。 さらにネット接続機能付き携帯が、高校生らの若年層に急速に普及していることも、被害を拡大させている。消費保護に関する知識が少なく、業者の言い分をまともに信じてしまいやすいからだ。「料金を支払え」と要求されるのは、「相手が自分に対して債権を持っている」ということだが、債権の存在は債権者側が証明すべきこと。若者には、そうした法律知識もない。 ■■経産省は「通信販売にあたる」 経済産業省の消費経済政策課は、毎日新聞の取材に対し、「パソコンや携帯による、いわゆる出会い系サイトは、訪問販売法に定める通信販売に相当する」との見解を示している。対象となる商品、役務(サービス)は政令で定められているが、1988年に盛り込まれた「結婚または交際を希望する者への異性の紹介」が、出会い系サイトにあたるという判断だ。 訪問販売法では通信販売業者に対し、誇大広告の禁止、料金を含む契約内容の明示などを求めている。違反しても罰則はないが、行政処分の対象となり、経産相が営業停止を命じることもできる。ただ、出会い系サイトへの行政処分の実績はまだない。 電子掲示板を使ったサイトなどについては、「実態として異性の紹介であるという証明が難しいのではないか」という声も聞かれる。仮に行政処分や営業停止命令があったからといって、もともと地道に業務を継続する意志のない事業者には、ほとんど効果は期待できないとみられている。 トラブル回避に一番有効なのは、アクセスしないこと。すでにトラブルに巻き込まれている場合は、「住所、氏名、電話番号、勤務先などの個人情報を絶対に伝えないこと」(国民生活センター)が大事という。 ■■「実在の店より、ずっと怖い」 一見簡単そうだが、相手業者との連絡に使った電子メールの末尾の署名や、最後に添えた自分のホームページのアドレスなどから、割り出されることも多い。また携帯からのアクセスの場合、相手方がその電話番号にかけてきて「そうか、キミは未成年者ですか。じゃあ料金は取れないなぁ。支払い免除の書類を送るので、送り先を教えてほしい」「利用明細を送るので、自宅か会社を教えてほしい」などと巧みに情報を聞き出してくる。 特に学生や高校生の場合、父親の勤務先を聞いてくることが多いので、要注意だ。そうして聞き出した自宅や勤務先に、業者自身や取立て業者が電話をかけてきたり、押しかけたりして、トラブルが深刻化してしまう。 国民生活センターによると、高校生のアクセスをきっかけに、いわゆる取立て業者が父親の会社に押しかけたため、定年を半年後に控えた父親がリストラされてしまった例すらある。 「絶対に支払わない」という姿勢を鮮明にすることも大事だ。1度の支払いで済むとは限らないからだ。業者は「裁判にする」などといってくるが、公序良俗に反したサービスを提供する業者が、公の場に出ることはまずない。 「ネットのこうしたサイトは、入り口の敷居こそ、実在の風俗店などより低いかも知れないが、入った先は実在の店よりずっと恐ろしい。これをを分かってほしい」。相談員の口調は、とても真剣だった。相談件数は、被害のほんの一角でしかない。H系への“好奇心”は高いツケを支払わされる。 【関連サイト】 [国民生活センター] [経済産業省] [訪問販売法解説のページ] http://www.mainichi.co.jp/digital/netfile/archive/200111/02-1.html |