2001年10月24日(水) 00時00分
呉服店がマルチ商法 勧誘に自社商品券利用 県内会員200人前後(熊本日日新聞)
「三十万円の商品券を買ってスタッフになり、新たに会員を勧誘すると手数料が入る」などをうたい文句に、熊本市の呉服店が行っていたマルチ商法による被害相談が、同市消費者センターなどに相次いでいる。被害は県内に広がっており、県警も詐欺などの疑いがあるとみて調べている。
同センターなどによると、呉服店は同市内の有限会社が経営。「会員を集めると一〜二割の手数料が入る」などの宣伝チラシや口コミで、一昨年末ごろから会員を募集していたらしい。
応募者は、同社だけで使える三十万円分の着物の商品券を購入すると、会員の募集ができる。自分が勧誘した客が三十万円の商品券を買って子会員になると、一人目で三万円、二人目以降は十二万円の販売手数料が入る。さらに、子会員が孫会員を一人獲得すると、九万円もらえる仕組み。
同店は今年三月ごろまで会員を募集していたが、現在は店舗が閉鎖され、営業も停止状態となっている。
同センターには「店が閉まっていて連絡がとれない」「クレジットで商品券を購入したが、着物はまだ購入していない。どうしたらいいか」など約四十五件の相談が寄せられている。
同センターは、クレジット契約の場合、支払い停止の手続きを指導しているが、契約では商品券ではなく、訪問着を購入したことになっており、クレジット会社との交渉は難航しているという。
球磨郡内の女性(60)は昨年七月ごろ、知人から同店の営業マンを紹介され、三十六回払いで商品券を購入。「着物は、毎月開かれる展示会で選べると説明されていたが、気に入ったものはなかった。店側も売る気はなかったようだ」と、紙切れ同然となった商品券を手に肩を落としていた。この女性によると、人吉・球磨地方だけで約四十人の会員がいるという。
県警は、会員は熊本市内を中心に県内で二百人前後に上るとみており、詐欺や契約前の説明義務などを定めた特定商取引法違反の適用も視野に入れ、被害の実態などを調べている。
http://www.kumanichi.co.jp/dnews/20011024/kiji1_0000006589.html
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