関係者によると、インター社は英会話ビデオなどの教材の販売をしており、セシオ社はインター社の企画部門が独立して設立された。セシオ社は、ビデオを代理店や個人セールスを通じて電話やダイレクトメールで勧誘する「アポイントメントセールス」といわれる方法で販売している。
東京国税局では、両社が代理店や個人に支払う手数料を架空に計上したり、人件費を水増しするなどの方法で法人所得を圧縮。平成五年六月期から七年六月期までの三年間で、セシオ社が八億数千万円、インター社が九億数千万円の所得を隠していたと認定したもようだ。隠した所得は複数の借名の預金などで保管していたらしい。塩瀬氏はセシオ社の主要株主であり、実質的な経営者であったことから、東京国税局は塩瀬氏を東京地検に告発したとみられる。
両社は今月、所轄の渋谷税務署に修正申告している。
民間信用機関の調査によると、セシオ社は昭和五十八年に設立され、資本金は一千五百万円。NHKが画像を提供し日本ビクターが総発売元となっているビデオ「昭和の記録」は全三十二巻でセット価格三十二万円と比較的高価だが、昨年の戦後五十年を機に人気となり、七年六月期の売り上げは約三十六億円に達した。申告所得は六年六月期が八千五百七十四万一千円、七年六月期が一億五千二百六十万一千円。
インター社は昭和五十四年に設立され、資本金は一千五百万円。英語学習用の雑誌や教科書、ビデオの販売を行っており、全国約三十カ所の販売会社に業務委託している。申告所得は平成四年六月期が二億二千百九万八千円、平成五年六月期が九千四百三十四万七千円。
ビデオソフトの訪問販売業者による脱税では、今年五月、グループ十二社が合計約十六億円の所得を隠していたとして、法人税法違反で「日本ネットワークサービス」(東京都新宿区)の実質オーナーが東京地検に逮捕されている。
電話勧誘による消費者相談は、勧誘が不意打ち的であり交渉内容が書面に残らないことから年々増加しており、国民消費者センターによると、相談件数は平成五年度の一万八千五百三十九件から昨年度は二万六千三百七十六件と大幅に増えている。このため、今年十一月から訪問販売法が改正され、電話勧誘販売は勧誘時に取引条件を明記した書面の交付を義務付けるなど法律で規制されることになった。
http://www.sankei.co.jp/databox/paper/9612/html/1217side43.html
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